安藤満プロは日本プロ麻雀連盟に所属していたプロ雀士です。
誰もが認める強豪プロで、その強さから麻雀漫画の主人公などにもなっています。
亡くなって10年以上経った今でも、最も強いプロとしてたびたび名前が挙げられます。
また、後輩の育成にも力を注ぎ彼を師と仰ぐプロ雀士が現在でも大勢活躍しています。
いまだに麻雀界に大きな影響を与え続けていると言えますね。
そんな安藤満プロについてまとめてみました。
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安藤満プロフィール
安藤満(あんどうみつる)
1949年3月10日生まれ、2004年3月27日逝去
千葉県の出身
血液型はB型。
日本プロ麻雀連盟所属
・第2・5・6・10期 鳳凰位
・第19・28期 名人位
・第16期 王位
・第2期 天王位
・第1・2回 モンド21杯
とにかく強くて華があるプロ雀士というイメージですね。
タイトルを総なめにして、本人をモデルにした漫画やVシネマも作られています。安藤プロの名前を冠したゲームも発売されました。
当時は、実力も知名度もナンバーワンの麻雀プロだったと思います。
2004年に食道癌により55歳という若さで亡くなりましたが、生きていれば獲得タイトル数はさらに伸びているはずです。
亜空間殺法とは?
安藤満プロの代名詞とも言われるのが「亜空間殺法」と呼ばれる打法です。
これは全く手役の見えない手牌から鳴きを入れて、それまでの流れを大きく変えるという戦法です。麻雀の流れを重視する安藤プロらしい打法ですね。
現代のデジタル雀士からするとオカルト戦法で意味がないように見えるかもしれませんが、そうでもありません。
今の有力プロでも使っている「先々付け」や「ブラフ鳴き」の効果があったはずです。
当時の競技プロでこういう戦略を取り入れている人は皆無だったので、「流れを変える」効果を抜きにしても非常に有力だったのではないでしょうか。
ちなみに、亜空間殺法が有名になりすぎたので鳴いてばかりのイメージがありますが、実際の安藤プロはじっくり腰を据えて打つタイプでした。
亜空間殺法を使うのは不調の時だけだったようですね。
亜空間殺法については「阿羅漢」(しもさか保著)という漫画で詳しく解説されています。
当時のライバルだった金子正輝プロの「牌流定石」も「流氷打ち」として登場しています。流氷打ちって……。
この作品を元にVシネマも作られています。
亜空間殺法を封印?そして新戦術
漫画化されたり戦術本を出版したりと、安藤プロの「亜空間殺法」はとても有名になりました。
その反面、ファンに打牌の理由を聞かれた時に、明確に答えられないことをとても気に病んでいました。
亜空間殺法は理屈で説明しにくい戦法ですからね。
そこで亜空間殺法をひとまず封印。(と言うか前面に押し出すのをやめた)
牌理(牌効率)などの勉強会などを作って理論に磨きをかけました。
オカルトプロの代表に思われがちな安藤プロですが、実はかなり理論にうるさい雀士だったそうです。
さてそんな折、安藤プロの新しい戦術が近代麻雀に掲載されました。
ちょっと曖昧なのですが確か「牌々相」というセオリーだったと記憶しています。
こんな内容だったと思います。
今ならこのセオリーをオカルトチックに感じるかもしれませんが、当時は誰もが対子場の存在を疑っていなかった時代です。
私も「おー、これが安藤プロの新理論か」と感心していました。
なんとこの戦術、近代麻雀の中で袋とじになっていました。
麻雀戦術を袋とじにするなんて聞いたことがない話ですよね。
これを開けた時のワクワク感は鮮明に覚えています。
[ad#co-1]安藤満の弟子たち
安藤プロにはたくさんのお弟子さんがいます。
有名なところでは同じプロ連盟所属の二階堂姉妹や藤原隆弘プロなどです。
特に二階堂亜樹さんはプロになる前に安藤プロの雀荘「きらきら惑星」に勤めていたこともあり、とても可愛がられていたようです。
亜樹プロの大事な対局には、後ろで見守る安藤プロの姿をよく見かけることがありました。
他にも過去プロ連盟にいた阿部孝則プロも弟子ですし、多井隆晴プロや河野高志プロとも親しかったようです。(三人とも現在はRMU所属)
河野プロはトーク番組で安藤プロと海外に遊びに行った時のことを話しています。
初日のカジノですっからかんになりお金がないまま海外で数日過ごしたこと。
四人で2杯分のコーヒーしか頼めなかったのに、それぞれの好みがブラック・ありあり・砂糖のみなどバラバラで困ったこと。
帰りの飛行機チケットだけはあったので、いよいよ機内食が食べられる時刻が近づいて「河野。お腹減ったね~」と安藤プロが可愛くつぶやいたことなど。
楽しいエピソードなのにどことなく寂しそうに語る河野プロが印象的でした。
願わくばもっと長生きしてもらって、いつか自分で師匠を打ち破る日が来るのを夢見ていたんでしょうね。
謳いの会
安藤満氏はプロになる前の若いころ「謳いの会」という集団に入っていました。
謳いの会というのは阿佐田哲也と古川凱章が作った若手のための競技会です。
そのメンバーは荒正義、田中利春、石崎洋など、プロを目指す精鋭ばかりが集まって切磋琢磨し合っていたそうです。
まるで漫画のような世界ですね。
実際に漫画にもなっています。
物語は主人公が亡くなる直前の回想からスタート。
謳いの会は「哮るの会」に。登場人物の名前も少し変えてありますが、詳しい人なら誰なのかはすぐわかります。
むこうぶちの安永
いまだに連載が続いている人気麻雀漫画「むこうぶち」ですが、当初の原案は安藤プロが手がけていました。
初期の頃の主人公傀が亜空間殺法を彷彿とさせる先々付けを見せています。
また、作中に登場する安永プロは明らかに安藤プロをモデルにしていますね。
安永プロ主催の青龍會が行っている活動も、安藤プロが主催していた勉強会「麻雀戦斗隊」や「牌理塾」にそっくりです。
牌理塾では対局した山の牌まで全部記録して、詳しく検証をしていたそうです。漫画の中でも同様の勉強会が描かれています。
安永プロは傀に歯が立ちませんが、本物の安藤プロならもっといい勝負ができそうな気がするのは私だけでしょうか。
まとめ
安藤満プロについてまとめてみました。
恐ろしく強い勝負師というイメージがありますが、実際の安藤プロのしゃべり方や物腰はとても穏やかです。
本物の実力があれば大口を叩く必要は無かったんでしょうね。
病気で入院されているところに仲間が見舞いに行ったときも、辛いはずなのにしんどい表情を全く見せなかったと聞きます。
こういうところからも、真の男の強さを感じてしまいます。